諸君が使う方眼紙は,普通の方眼紙(名前??),型対数方眼紙,両対数方眼紙が主である.
これらをデータに応じて使い分ける必要がある.まず,これらの方眼紙の特徴を述べる.
これは,もっともおなじみの,x軸とy軸ともリニアーになっているものである.説明する
までもなく,よく知っているだろう.これはグラフ上の基準点からの距離(
![$ X, Y$](img1.png)
)に,デー
タ
![$ (x,y)$](img2.png)
を
|
![$\displaystyle X=C_{0x}+C_{1x}x$](img3.png) |
|
![$\displaystyle Y=C_{0y}+C_{2y}y$](img4.png) |
|
(1) |
のようにプロットする.
![$ C_{1x}$](img5.png)
と
![$ C_{1y}$](img6.png)
はグラフのスケールを決める定数,
![$ C_{0x}$](img7.png)
と
![$ C_{0y}$](img8.png)
はオフセットである.難しいことを言わなくても,x軸とy軸の交点(基準点)を
![$ (C_{0x},C_{0y})$](img9.png)
として,等間隔に目盛りを付けていると言うだけのことである.
したがって,x軸とy軸ともリニアーになっている方眼紙では,
の一次関数が
のように,グラフ用紙で直線になる.なぜならば,
![$ x$](img14.png)
に依存しないで,傾きが一定となっ
ているからである.このグラフの傾き
![$ \mathrm{d}Y/\mathrm{d}X$](img15.png)
と,スケールの比
![$ C_2/C_1$](img16.png)
から,デー
タの1次関数の係数
![$ a$](img17.png)
が分かるのである.
この方眼紙の軸は,ちょっと変わっていて,片方はリニアーで,もう一方は対数軸がであ
る.横軸,縦軸のいずれも対数軸にすることができるが,ここでは話を簡単にするために,縦軸を対
数軸とする.そうすると,横軸はリニアー軸になる.先ほどと同様にグラフ上の基準点か
らの距離を
![$ (X,Y)$](img18.png)
とする.この場合は,
|
![$\displaystyle X=C_{0x}+C_{1x}x$](img19.png) |
|
![$\displaystyle Y=C_{1y}\log_{10}\left(\frac{y}{y_0}\right)$](img20.png) |
|
(3) |
となる.
![$ C_{1x}$](img21.png)
と
![$ C_{1y}$](img22.png)
はグラフのスケールを決める定数である.
![$ C_{1y}$](img23.png)
は1にす
るのが普通である.以降,
![$ C_{1y}=1$](img24.png)
として話を進める.
![$ C_{0x}$](img25.png)
は,x軸のオフセット
である.
![$ y_0$](img26.png)
は基準点(
![$ Y=0$](img27.png)
)での,yの値である.もう一度ちゃんと書くと,データは,
と片対数方眼紙でプロットされる.
このグラフでは,指数関数
![$\displaystyle y=ab^{cx}$](img30.png) |
(5) |
が直線になる.これは,
![$\displaystyle y=ae^{xc\log_eb}=a10^{xc\log_{10}b}$](img31.png) |
(6) |
から,底が
![$ e$](img32.png)
や
![$ 10$](img33.png)
でもおなじことである.一般に,片対数方眼紙は,指数が10の時,
便利に使えるように考慮されている.と思っていたら,今回,捜してきた片対数グラフは
そうなっていない.非常に驚いたが,近頃はそういうのもあるらしい.ここでは,昔から
使われてきた,横軸の10目盛り(10cm)の寸法と縦軸の1桁が10cmと等しいものを対象にす
る.
そこで,
がどのように表されるか,考える.式(
4)より,
![$\displaystyle \mathrm{d}X=C_{1x}\mathrm{d}x$](img35.png) |
(8) |
となる.一方,
![$ \mathrm{d}Y$](img36.png)
は,式(
7)を式(
4)に代入して
計算すればよく,
![$\displaystyle \mathrm{d}Y=\beta \mathrm{d}x$](img37.png) |
(9) |
となる.したがって,グラフ上の傾きは,
![$\displaystyle \frac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}=\frac{\beta}{C_{1x}}$](img38.png) |
(10) |
となる.これから,片対数方眼紙では,指数関数が直線で表せることが分かった.そして,
その傾きは,
![$ \beta/C_{1x}$](img39.png)
を表し,
![$ \beta$](img40.png)
が容易に求まることが分かった.
このグラフは,片対数方眼紙と同じように考えることができ,データ
![$ (x,y)$](img41.png)
は,グラフ
上の
に変換される.
この方眼紙は,
![$\displaystyle y^{\alpha}=Cx^{\beta}$](img45.png) |
(12) |
が直線になる.このことを,今までと同じように確認してみよう.まずは,式
(
11)から,
![$\displaystyle \mathrm{d}X=\frac{C_x\mathrm{d}x}{x\log_e10}$](img46.png) |
(13) |
となる.次に,
![$ \mathrm{d}Y$](img47.png)
であるが,
![$\displaystyle y=C^{1/\alpha}x^{\beta/\alpha}$](img48.png) |
(14) |
と変形しておく.これを,式(
11)に代入して,整理すると,
![$\displaystyle \mathrm{d}Y=\frac{\beta}{\alpha}C_y\frac{\mathrm{d}x}{x\log_e10}$](img49.png) |
(15) |
となる.したがって,グラフ上の傾きは,
![$\displaystyle \frac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}=\frac{\beta}{\alpha}\frac{C_y}{C_x}$](img50.png) |
(16) |
となり,いつも一定で直線になる.
通常,両対数方眼紙は,
になるように作られるので,グラフの傾きは
をあらわす.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日