オームの法則(ohm law)もさんざん学習してきたので、分かっていると思う。ここでは、それを場の
式に書き改める。
まず、図5のような棒である。この両端に定常電流を流すと、それ
に比例した電圧が発生する。これをオームの法則と言い、
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と書き表せる。この比例定数
を電気抵抗(あるいは抵抗)と呼ばれる量で、かなり広い
範囲で電圧や電流に依存しないで一定の値である。しかし、物質やその状態、形には依存
する。抵抗の単位は[
]と書き、オームと読む。SI組み立て単位だと、[
]である。
実験によると、この抵抗は導体の長さに比例して、断面積に反比例する。すなわち、
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(13) |
である。この比例定数
を抵抗率と言う。この抵抗率は導体の形に依存しないで、導
体固有の値である。すなわち、導体の物性値である。また、抵抗が断面積に比例すると言
うことは、電流は導体の内部全体にわたって流れていることを表している。
それでは、次にいつものようにこれを場の量で表すことにする。まずは、オームの法則を
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と書き改める。これはいつでも成立するので、非常に小さい領域で考えることにする。す
ると、
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が成り立つ。これを変形して、
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である。左辺は電場、右辺の
は電流密度を表す。従って、
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である。通常、
の逆数である電気伝導率
をつかって、この式は
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(18) |
と書かれる。これが、場の量で書かれたオームの法則である。
ここでは、オームの法則が成り立つためには、導体中で電子の運動について述べる。この
辺の話は、文献 [
1]を参考にしている。
導体中では、電子の移動が電流を担う。固定された金属原子のイオンの間を電子が通りす
ぎて、それが電流となる。電流は電荷の移動であったことを思い出せ。金属に外部から電
場をかけない場合、その電子は熱運動のため、勝手な方向に運動をして、トータルな電子
の移動は生じない(図6)。すなわち電流が生じない。ここで、
外部から電場をかけるとその方向とは逆に電子は移動し始める(図
7)。これが電流である。電流が流れ始めても、その速度は圧倒
的に熱運動に起因するものの方が大きい。
図 6:
電子は熱運動により、勝手な方向に動いている。
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図 7:
熱運動と電場から受ける力による運動が合成される。
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抵抗がどのようにして生じるかは、電子の運動を考えなくてはならない。電子はイオン
と衝突を繰り返して、移動する。1回の衝突で、電子は曲げられて運動量が変化する。こ
れを何回か繰り返すと初期状態によらず、全ての方向の同じ確率で運動量を持つようにな
る。ここでは、話を簡単にするために、1回の衝突で最初の運動量の記憶を忘れて全ての
方向に同じ確率で運動量を持つとしよう(図8)。
それでは、ある時刻での運動量を考えよう。そのために、各電子の最後の衝突から、
この時刻までの時間と言うものを導入する。すると、ある時刻の運動量は、
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(19) |
となる。ここで、
は平均の運動量、
は衝突直後の
番目の電
子の運動量を表す。右辺最後の項は、運動量の変化は力積(力
時間)に等しいと言
うことから出てくる。
ここで、左辺第1項の平均はゼロとなる。これは、衝突するとそれ以前の情報は失われて
運動量は全ての方向に等確率で分配されると言う仮定による。従って、運動量はいつも同
じで、
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(20) |
となる。
の平均は、平均衝突間隔
に等しい。したがって、電子の平均速度は、
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(21) |
となる。
電子の平均速度が求まったので、電流を求めるのは簡単である。電子の平均密度をと
すると、電流密度
である。この式から、抵抗率は
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(23) |
となる。
電気回路と水の流れを図
9に示す。
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日