これまで学習してきたように,次のような関数はフーリエ級数で表すことができる.
-4pt
例えば,周期
![$ 2L$](img2.png)
あるいは区間
![$ [-L,L]$](img3.png)
で定義された関数
![$ f(x)$](img4.png)
は,
のようにフーリエ級数で表すことができる.
先に示したように,フーリエ級数は有限な区間
![$ [-L,L]$](img8.png)
で定義された関数を表すことがで
きる.それを無限の区間
![$ [-\infty,\infty]$](img9.png)
に拡張することを考える.ここで
は,有限な
![$ L$](img10.png)
の式から出発して,それを
![$ L\rightarrow \infty$](img11.png)
にする.式
(
1)の
![$ f(x)$](img12.png)
に
![$ a_n$](img13.png)
と
![$ b_n$](img14.png)
を代入すると,
が得られる.ここで,
有限の値 |
(3) |
とするならば,式(
2)の右辺の第一項はゼロに収束する
2.なぜならば,
![$ 1/L$](img18.png)
の係数が無限小になるからである.つぎに,
|
![$\displaystyle \alpha_n=\frac{n\pi}{L}$](img19.png) |
(4) |
|
![$\displaystyle \varDelta\alpha =\alpha_{n+1}-\alpha_n =\frac{(n+1)\pi}{L}-\frac{n\pi}{L}=\frac{\pi}{L}$](img20.png) |
(5) |
とおく.すると,
![$ L\to\infty$](img21.png)
は
![$ \varDelta \alpha\to 0$](img22.png)
となる.したがっ
て,
![$ L\to\infty$](img23.png)
の場合の式(
2)は,
となる.ここで,
とおく.すると,式(
6)は,
となる.この右辺はリーマン和の極限--普通の積分--の形になっている.したがって,
と書くことができる.これまでの話をまとめると,次のようになる.
|
フーリエ積分1
区間
で定義された関数 は,次のフーリエ積分で表すことができる.
|
つぎに,式(7)と式(8)を式
(10)に代入すれば,
がえられる.これもフーリエ積分である.
|
フーリエ積分2
区間
で定義された関数 は,次のフーリエ積分で表すことができる.
![$\displaystyle f(x)=\frac{1}{\pi}\int_0^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty} f(u)\cos\alpha(x-u) \,\mathrm{d}u\,\mathrm{d}\alpha$](img44.png) |
(12) |
|
式(
11)から,指数関数を用いたフーリエ積分を求める.その
計算をするときに,オイラーの公式より導くことができる.ここでは,
![$\displaystyle \cos\theta=\frac{e^{i\theta}+e^{-i\theta}}{2}$](img45.png) |
(13) |
を用いる.
この式を使うと,式(11)は次のように変形できる.
この式は,一般には次のように変形されて使われることが多い.
この式もまた,フーリエ積分の別の形である.他のフーリエ積分に比べると式が単純であ
ること,また次のフーリエ変換との関係が深いことから,これがもっとも重要である.
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フーリエ積分3
区間
で定義された関数 は,次のフーリエ積分で表すことができる.
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ここまでの話は,教科書 [
1]のp.239-242に対応する.しかし,教科書で
は等号(
![$ =$](img66.png)
)を使わずに,正確でないがまあ良かろうという意味で記号
![$ \sim$](img67.png)
を使ってい
る.配布したプリントでは,いきなり等号(
![$ =$](img68.png)
)を使っている.近似記号(
![$ \sim$](img69.png)
)を等
号(
![$ =$](img70.png)
)に直すためには,教科書 [
1]の定理4が必要ということである.こ
れが必要な理由は,私は分からない.不連続点の取扱いを定めたものと考えて,「こんな
ものか」という程度にとどめるのが良いだろう.直感的に正しそうで,なにもそんなに不
思議なことはない.このあたりはフーリエ級数と同じ.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年1月19日