導関数のフーリエ変換は,非常に重要で電気の問題にしばしば表れる.多分,諸君は知ら
ないうちにそれを使っている.ここで,ちゃんとした話としておこう.
導関数
のフーリエ変換をとする.部分積分を利用すると,
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(20) |
が得られる.自然界の物理量
は,
である.したがって,こ
の式の第一項は,ゼロに収束し,
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(21) |
となる.ようするに導関数のフーリエ変換は,元の関数の
倍である.
階の
導関数でも同様に,
となる.
図
9のRL直列回路のインピーダンスを考える.インダクタンスを
,
レジスタンスを
とした場合のキルヒホッフの法則は,
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(23) |
となる.ただし,電源の電圧は電流の流れる方向を正としている.電源電圧は時間ととも
に変化する.それにしたがい回路に流れる電流も変化する.これの両辺に
を乗じて区間
で積分を行う.
式(
23)を使って,整理すると
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(25) |
となる.ここで,
は
のフーリエ変換,
は
のフーリエ変換である.電源から見た回路のインピーダンス--周波数の関数--は
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(26) |
と定義できる.したがって,図
9の電源から見たインピーダンスは,
式(
25)より,
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(27) |
となる.電気回路でいつも見る式である.諸君は知らず知らずのうちにフーリエ変換を使っ
ていたのである.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年2月22日