フーリエ級数の物理的なイメージを持つために,パルス状の電圧の波を考える.具体例として,
周波数
![$ f_0$](img33.png)
[
![$ \mathrm{Hz}$](img34.png)
],パルス幅が
![$ T$](img35.png)
[
![$ \mathrm{sec}$](img36.png)
],振幅
![$ V_0$](img37.png)
のパルス状の正弦波を考える.
![$\displaystyle V(t)= \begin{cases}V_0\sin(2\pi f_0 t)=\sin(\omega_0 t) & -T\leqq t \leqq T \\ 0 & t < -T\quad\text{または}\quad T<t \end{cases}$](img38.png) |
(9) |
と表すことができる.
![$ \omega_0$](img39.png)
は角振動数と呼ばれる量で,
![$ \omega_0=2\pi f_0$](img40.png)
の関係
がある.周波数
![$ f_0$](img41.png)
を使うと式中に
![$ 2\pi$](img42.png)
がいつも顔をだし,じゃまなので角振動数と
いう量が使われる.
これを,区間
としてフーリエ級数を考えよう(図1).パルス幅の1
倍,2倍,3倍,10倍,100倍と変化させた場合のフーリエ係数を知りたいのである.
このパルス状正弦波は奇関数なので,フーリエ係数の
はゼロとなる.いっぽう,
は
の積分より計算できる.ここで,
![$\displaystyle \omega=\frac{n\pi}{NT}$](img50.png) |
(11) |
とする.すると,フーリエ係数は
![$ b_n\to b(\omega)$](img51.png)
と書き直してもよいだろう.
これを角振動数ではなく,より分かり易い周波数に直すと,
となる.この
![$ b(f)$](img56.png)
を
として,グラフにすると次のようになる.
このグラフの結果から,次のことが分かる.
- 最もピーク電圧の高い周波数は,1[
]である.これは,正弦波の周波数と
なっている.
- 電圧がゼロとなる周波数が100[
]間隔で表れる.式(13)から
分かるように,これはパルス幅10[
]の逆数である.パルス状の波は,パ
ルス幅と同程度,周波数が拡がることを意味している.これは電気では重要で,
「パルス幅の短い波は広いスペクトルを持つ」ということを表している.パルス
幅の狭いノイズは広いスペクトルを持つので,フィルターでの減衰が難しくなる.
- 周波数を横軸したピーク電圧は定義している時間幅
に反比例している.これは
パーセバルの等式
を考えれば,納得できる.
つぎに,パルス状の正弦波である式(
9)をフーリエ変換する.これは,
奇関数なのでフーリエ正弦変換となる.
あるいは,角振動数ではなく,周波数で表示すると,
となる.これを,
として,グラフにするとつぎのようになる.
フーリエ変換の図
2〜
7の横軸は,周波数である.縦軸は,電
圧となっている.横軸は周波数である.このことは,式(
13)から分かる.
フーリエ変換の図8はどうであろうか?.横軸は明らかに周波数である.縦軸
の次元は,
となっている.これについては,式(16)から分
かる.
フーリエ変換は,時間情報を周波数情報に変換している.すなわち,時刻の関数で振幅が
![$ f(t)$](img92.png)
が
分かったとすると,周波数(角振動数)の関数でその振幅
![$ F(\omega)$](img93.png)
がわかる.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年2月22日