図
1に示すように
![$ x$](img11.png)
軸と垂直な弦の振動の方程式を考える.
![$ x$](img12.png)
軸か
らの弦の変位を
![$ y(x,t)$](img13.png)
とする.場所
![$ x$](img14.png)
と時刻
![$ t$](img15.png)
を決めたら弦の変位が決まるので,変
位は
![$ y(x,t)$](img16.png)
と表すことができる.弦の変位は
![$ y(x,t)$](img17.png)
は,弦の長さ
![$ L$](img18.png)
に比べて十分小
さい場合,次の偏微分方程式が成り立つ.
これを波動方程式と言う.
波動方程式(
1)--偏微分方程式のひとつ--の解を,
とそれぞれの変数の関数の積の形になると仮定する.これを変数分離形と言う.この仮定
した解を元の偏微分方程式に代入する.すると,
![$\displaystyle X(x)T^{\prime\prime}(t)=c^2X^{\prime\prime}(x)T(t)$](img22.png) |
(3) |
が得られる.これは,
![$\displaystyle \frac{T^{\prime\prime}(t)}{c^2T(t)}=\frac{X^{\prime\prime}(x)}{X(x)}$](img23.png) |
(4) |
となる.この左辺は時刻
![$ t$](img24.png)
のみの関数で,右辺は場所
![$ x$](img25.png)
のみの関数である.これが等し
いということは,両辺の値は定数でなくてはならない.この定数を
![$ -\lambda$](img26.png)
とすると,
![$\displaystyle \frac{T^{\prime\prime}(t)}{c^2T(t)}=\frac{X^{\prime\prime}(x)}{X(x)}=-\lambda$](img27.png) |
(5) |
となる.これを整理すると,
という連立常微分方程式になる.弦の振動の場合,図
1に示すように
弦の両端で固定されている.固定されている部分では,弦の変位
![$ y(x,t)$](img30.png)
はゼロである.
したがって,
|
![$\displaystyle X(0,t)=0$](img31.png) |
|
![$\displaystyle X(L,t)=0$](img32.png) |
|
(8) |
である.この条件--境界条件--を満たすことができるのは,
である.時刻の項の常微分方程式(
7)は,
![$\displaystyle T^{\prime\prime}+\left(\frac{n\pi c}{L}\right)^2T=0$](img35.png) |
(10) |
となる.
![$ (n\pi c/L)^2$](img36.png)
は正の実数であるので,一般解は
となる.空間および時刻の常微分方程式から得られた解を元の仮定した解
(
2)に代入すると
![$\displaystyle y_n(x,t)= C_n\sin\frac{n\pi x}{L}\cos\frac{n\pi ct}{L}+ D_n\sin\frac{n\pi x}{L}\sin\frac{n\pi ct}{L}$](img38.png) |
(12) |
となる.元の波動方程式は線形なので,重ね合わせの原理が成り立つ.すなわち,解は
と書き表すことができる.
本日は,波動方程式(
1)のに初期条件を組み込む方法を学習する.教科書
[
1]では,p.250-251の範囲である.ただし,教科書では初期条件とは言
わないで境界条件としている.同じことではあるが,電気の習慣に従うことにする.本日
のゴールは,次のとおりとする.
- 初期条件や境界条件の意味が分かる.
- 微分方程式の一般解に,初期条件や境界条件を取り込む方法が分かる.
具体的には,波動方程式の解である式(
13)の
![$ C_n$](img42.png)
や
![$ D_n$](img43.png)
の値を決め
る.
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年2月22日