この装置は,高エネルギーの(10MV)ビームを得るものである.原理は次のようになってい る.
大気中の100[V/m]くらいの電場がある.地上の電圧をゼロとすると,上昇するに従い電圧 が高くなる.その様子を6に示す.この電場により,約 とごくわずかな電流が流れている.電流の担い手は,宇 宙線により電離された空気の分子-- イオン--である.
上空50,000 には,比較的比較的電気伝導率の高い層がある.地上とこの 層でコンデンサーを構成している.コンデンサーの電圧は,400,000 である (図7).このコンデンサ中を約 の密度で電流が流れている.トータルの電流量は 1800 にもなる.電力は700 にもおよぶ.このような大電流が流れれば,コンデンサーはすぐに放電してしまう.実際,そのような ことは起きておらず,耐えず100 の電場が存在して,上空から電流が降 り注いでいる.このようなことが起きるためには,コンデンサーに充電する機構が必要で ある.雷雨がその役割を担っている.雷が地球に負の電荷を運び,コンデンサーを充電し ているのである.驚いたことに,雷は放電しているのではなく,充電をしているのである. この充電するためのメカニズムどうなっているのだろうか?.これは,なかなか難しい問 題のようである.興味のある者は調べてみると良い.
ほとんどの場合,回路中の電子は電場により動かされている.その他の力で動かされるこ とは,非常にまれである.
まず,図8のような棒である.この両端に定常電流を流すと,それに 比例した電圧が発生する.これをオームの法則と言い,
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実験によると,この抵抗は導体の長さに比例して,断面積に反比例する.すなわち,
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それでは,次にいつものようにこれを場の量で表すことにする.まずは,オームの法則を
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オームの法則は経験則であり絶対に成り立たなくてはならない--という代物ではない. それは,導体中を流れる電流量は電圧に比例すると言っている.電流が流れると電 流量に比例した電圧があるのである.その比例定数が抵抗である.普通に考えれば,この 抵抗は電流の関数となる.実に不思議なことに,電流の関数となっていないのである.実 際非常に小さい電流から大きな電流まで,抵抗の値は一定である.一定の値になる理由を これから述べる.
導体中では,電子の移動が電流を担う.固定された金属原子のイオンの間を電子が通りす ぎて,それが電流となる.電流は電荷の移動であったことを思い出せ.金属に外部から電 場をかけない場合,その電子は熱運動のため,勝手な方向に運動をして,トータルな電子 の移動は生じない(図9).すなわち電流が生じない.ここで, 外部から電場をかけるとその方向とは逆に電子は移動し始める(図 10).これが電流である.電流が流れ始めても,その速度は圧倒 的に熱運動に起因するものの方が大きい.
抵抗がどのようにして生じるかは,電子の運動を考えなくてはならない.電子はイオン と衝突を繰り返して,移動する.1回の衝突で,電子は曲げられて運動量が変化する.こ れを何回か繰り返すと初期状態によらず,全ての方向の同じ確率で運動量を持つようにな る.ここでは,話を簡単にするために,1回の衝突で最初の運動量の記憶を忘れて全ての 方向に同じ確率で運動量を持つとしよう(図11).
それでは,ある時刻での運動量を考えよう.そのために,各電子の最後の衝突から, この時刻までの時間と言うものを導入する.すると,ある時刻の運動量は,
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ここで,左辺第1項の平均はゼロとなる.これは,衝突するとそれ以前の情報は失われて 運動量は全ての方向に等確率で分配されると言う仮定による.従って,運動量はいつも同 じで,
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電子の平均速度が求まったので,電流を求めるのは簡単である.電子の平均密度をと すると,電流密度
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実際には電流を増やすと抵抗が増加する.これは,次の理由による.電流を増加させると, 発熱が増え,原子の熱振動が活発になる.そのため,衝突断面積 が増える.ここでは1回の衝突で以前の運動量の情報を失うとしたが,実際には多数回の 衝突が必要である.衝突断面積が増加すると以前の情報を失うまでの回数が減少し,平均 衝突間隔が短くなる.そして,抵抗が増加する.もし,抵抗の温度を一定に保つと,オー ムの法則は本当に広い電流領域で成り立つ.