プログラムは,意図した通りに動作して,はじめて完成した--といえる.完成にたどり
着くまでには,様々な処理が必要である.C言語の文法を理解する前に,この操作を覚え
なくてはならない.
プログラムの作成方法は,どのようなコンピューターを使っても大体同じである.最初に,
プログラムを入れるディレクトリー(フォルダー)をつくり,プログラムを記述し,コンパ
イル後,実行させる.この4つの動作の繰り返しである.図1にこ
の操作のフローチャートをしめす.
プログラムのみならず,ホームページを作成するとき,あるいは文章を書くときもこれに
似た作業をする.ソース--文章やHTML等--を書いて,できあがりを確認し,気に入らな
いところを修正する--ことの繰り返しである.これらの作業を経た後,完成となる.
図 1:
プログラムの作成手順.フローチャートの横にコマンドを書いてある.ここ
では,workと言うディレクトリーに,hooge.cというソースプログラムを作
成し,機械語のファイルfugaを作っている.
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さて,図1の作業の具体的な方法を述べる.ここでの作業は4つで,
使うコマンドも4つである.今後,1年間,この作業を繰り返すので,これを身に付けなく
てはならない.
- 作業用ディレクトリーの作成 プログラムをディレクト
リー毎にわけることにより,大量のプログラムを管理する.以下に示す2通りの
方法で,ディレクトリーを作成することができる.
- CUI(Character-based User Interface)を使う方法.ターミナル
2のアイコンをダブルクリックして,ターミナルを開く.そこで,
「cd ディレクトリー」とタイプし,目的のディレクトリーへ移
動する.そして,「mkdir ディレクトリー名」とタイプし,作業用ディ
レクトリーを作成する.
- GUI(Graphical User Interface)を使う方法.デスクトップの「アカウン
ト名+ホーム」と書かれたアイコンを開いて,右クリックの新しいフォル
ダーを選択することにより,作業用ディレクトリーを作成する.
- ソースプログラム作成 ターミナルが開かれていないならば,
ターミナルのアイコンをダブルクリックして開く.ターミナル上で,「cd
ディレクトリー名」とタイプして,作業用のディレクトリーに移動する.そこで,
「emacs ソースファイル名.c&」とタイプして,emacs3 を立ち上げプログ
ラムを書く.最後の& は,emacsを動作させたターミナルから,コマンド入
力ができるようにしている.
図 2:
エディター emacs の実行方法.hoge.cというC言語のソースプログラムを作成する.
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プログラムを書き終えたら,それを保管する.できあがったファイルを,ソース
ファイルと言う.その中身が,ソースプログラムである.
- C言語を機械語に変換(コンパイル) C言語のファイルを機械語
に変換する.この作業をコンパイルという.コンパイルするためには,
「gcc -o 実行ファイル名 ソースファイル名.c」とタイプする.
図 3:
C言語のソースファイルを機械語のファイルに直すgccの書き方
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コンパイル時にエラーが発生したら,ソースプログラムを直す.
- 実行 「./実行ファイル名」とタイプして,プログラム
を実行する.
実行時にエラーが発生したら,ソースプログラムを直す.
しばらくの間,諸君が作成するプログラムの構造は,図
5の
ようになっている.驚いたことに,プログラムは,たった3つの要素から構成されているのであ
る.これさえ,わかればプログラムを作成することができる.
- おまじない.図5に示しているように,プログ
ラムの最初と最後に,ワンパターンでこの文を書く.
- 変数宣言.プログラムは,データを処理する.データは変数の中に入
れなくてはならない.変数は,メモリーの一部を使って,データを記憶する.メ
モリーを使う--ということをコンピューターに知らせるのが,変数宣言の役割で
ある.
- 動作部分.プログラムの実際の動作を記述する.
以下のようなテクニックを身につけると,プログラムの作成が容易になる.
- 似たようなプログラムをコピーと修正により,新規に作成する.毎回,最初から
プログラムを作成すると,手間が大変だし,時間もかかる.以前作成したプログ
ラムのソースファイルをコピーして,修正する方が断然,楽である.
- プログラムは,ディレクトリー毎にわけて管理する.これから,諸君は多くのプ
ログラムを作成することになる.作成したプログラムが,すぐに利用できるよう
に整理しておくと便利である.良いプログラムは,財産となる.少なくとも,
卒業研究に利用することは可能である.いざ使うときに,すぐにみつからないと
利用する気も失せてしまう.
- コマンドをタイプするCUIでのファイル操作が性に合わなければ,GUIのファイル
操作を使えば良い.
- 補完機能を上手に使うとタイプする回数が少なくなり,プログラマーのストレス
が減る.長いファイル名を入れるときに,途中までタイプして,[Tab]キーを押す
と,それ以降のファイル名を補ってくれる.ファイル名を最後まで入れる必要は
ない.また,コマンドも補ってくれる.
- コピー・ペーストを利用しよう.一番単純なコピーペーストは,マウスの左ドラッ
グと中クリックである.これは,emacsに限らず,いつでもどこでも使える.
- history機能を利用しよう.UNIXを使ってプログラムを作成しているとき,同じよ
うなコマンドを何回もタイプする.例えば,gcc -o hoge fuga.cなどである.
これをいちいちタイプしていたら,それだけでプログラム作成の意欲が失う.こ
のようなときは,[上矢印]や[下矢印]を使うと,良い.以前タイプした文字が出
てくる.編集も可能である.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年4月17日