3 メッシュと時間の刻み

軸対称構造の解析なので,本来は2次元問題である.しかし,解くべきマクスウェルの方 程式(6)と(7)は3次元で表現されている. そこで,ここでは3次元の式から出発して,2次元に直すことにする.

解析の対象は図1に示すような軸対称構造物である.対称性を考慮す ると,rz平面の上半分のみを計算すればよい.解析の対象としている $ \mathrm{TM}_{0n}$で は,上半分と下半分は同じ電磁場となるからである.このような単極モードではなくとも 多極モードでも,上半分が計算できれば下半分の計算ができるので,やはり半分のみを解 析の対象とすればよい.

rz平面での形状が長方形で形作られているが,これが最終的に計算するメッシュとなる. この長方形の面の中心に磁場$ H_\theta$が,辺の中心に電場$ E_r$$ E_z$がある.このよ うに長方形により離散化された電磁場を計算することになる.多くの長方形により計算す る領域が構成されることになるが,長方形の大きさは一様である必要はない.だが一般的 には計算を容易にするために,実際にはプログラムを容易にするために,一様な大きさの 正方形を用いる.

電磁場のみならず,FDTD法では時刻も離散化しなくてはならない.本間らの教科書  [1]に示しているように,電場と磁場を交互に計算するよ うに,時刻を計算する(図3).長方形メッシュにより,電場と磁場を 計算する位置が交互になっているように,時間領域でも交互に計算するのである.計算す る時間間隔もまた一定にする必要はないが,一定間隔にする方が計算が容易である.

電場も磁場も位置$ (z,r)$と時刻$ (t)$の関数で,通常の表記だと式が長くなる.そこで, 簡潔に式を記述するために,参考文献  [1]と同様,以下 の表現を用いることにする.

  $\displaystyle E_z(z_{i+1},r_{j+3/2},t_{n+1/2})=E_{z\;i+1,j+3/2}^{\mspace{12mu}n+1/2}$ (11)
  $\displaystyle E_r(z_{i+3/2},r_{j+1},t_{n+1/2})=E_{r\;i+3/2,j+1}^{\mspace{12mu}n+1/2}$ (12)
  $\displaystyle H_{\theta}(z_{i+1},r_{j+1},t_{n+1})=H_{\theta\;i+1,j+1}^{\mspace{12mu}n+1}$ (13)

図 1: FDTDのメッシュ.rz平面では,長方形メッシュとなる.
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/FDTD_mesh.eps}
図 2: FDTD法で電磁場計算のメッシュ.
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/mesh_step.eps}
図 3: FDTD法で電磁場を計算するときの時刻の刻み方.
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/time_step.eps}



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


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