軸対称問題は、円柱座標系を使うのがセオリーである。この場合、解析する機器の形状は完全軸対
称で、電荷分布も同じである。スカラーポテンシャルはスカラー量なので、ベクトルポテンシャ
ルのように煩わしいことはなにもない。有限要素法で計算するときには、ただ汎関数の値
を求めれば良いのである。
静電場の汎関数は式(9)で示したとおりである。この式
にはスカラーポテンシャルの勾配の演算が含まれる。円柱座標系の勾配は、以前示したとおり、
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(14) |
である。軸対称構造の静電場には、
がゼロである。従って、スカラーポ
テンシャルの勾配の
成分はゼロになる。そのため、スカラーポテン
シャルは
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(15) |
となる。
この回転の結果を汎関数の式(9)に適用すると、
となる。
特に静電場の場合は、ラプラス方程式を計算することが多く、その場合は、式
(16)をとすればよい。するの、その式は
静電場のエネルギーを表す式になる。その第一変分がゼロということは、安定状態はエネ
ルギーが停留値になることで、一般には最低エネルギーになる。エネルギーがもっとも小
さいときが安定なのである。
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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日