波動方程式の他に、初期条件と境界条件がある。力学的状態は、ある時刻、ここでは
の時の変位とその変位の速度が決まれば、それ以降を決めることができる。振動の
場合は、これに加えて更に、振動の境界条件を決める必要がある。これらが決まって初め
て、波動方程式とともに、振動の状態、ある時刻と位置の変位の値が決まるわけである。
図4に初期条件と境界条件の様子を示す。
まずは、波動方程式を差分方程式に書き直すことからはじめる。これも、いつものように、
解をテイラー展開する。x方向の微小変位を
、時間軸方向の微小変位
を
とする。すると、
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これらの式(6)と(7)を元の波動 方程式(4)に代入すれば、
実際に式(9)を数値計算する場合、x方向には、時間軸方向には
毎に分割する。ラプラス方程式を格子点で分割したのと同じである。格子点に
分割し数値計算する場合、
や
と表現するよりは、
と表現したほうが便利である。そこで、
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(12) |
この式を用いた計算の様子を図3に示す。
波動方程式というけったいな偏微分方程式が、ただ単に数値を順番に代入していく式に変
換されたわけである。この計算は非常に簡単である。ただ、時間領域を1000分割
()、x軸領域も1000分割(
)すると、100万回の計算が必要であるが、
コンピューターにとって、その程度の計算は大したことはない。
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(13) |
これを計算するためには、まず、
の値を決める
必要がある。これ以前の状態が分からないので、式(11)は使えないが、式
(4)の初期条件が使える。すなわち、
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(14) |
次に、
を計算するわけであるが、まだ、式
(11)は使えない。なぜならば、この式は2つ前の状態まで必要なので、こ
れまでのところ、一つ前の状態しか分かっていないからである。そこで、2番目の初期条
件(変位の速度)を使うことになる。計算したい量は
なので、とりあえず
テーラー展開してみる。これを、
の周りでテーラー展開すると、
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(17) |
以上より、と
が得られたわけである。
以降は、
式(11)に従い、計算すればよい。