定積分、
|
(12) |
の近似値を数値計算で求めることを考える。積分の計算は面積の計算であるから、図
2のように台形の面積の和で近似ができるであろう。積分の範
囲
を
等分した台形で近似した面積Tは、
となる。これが数値積分の台形公式である。なんのことはない、積分を台形の面積に置き
換えているだけである。
台形公式の考え方は簡単であるが、精度はあまりよくない。そこで、よく似た考え方で精
度が良いシンプソンの公式を説明する。台形公式は、分割点の値を一次関数(直線)で近似
を行い積分を行った。要するに折れ線近似である。ここで、1次関数ではなく、高次の関
数で近似を行えばより精度が上がることは、直感的に分かる。
2次関数で近似を行うことを考える。2次関数で近似するためには、3点必要である。3つの
分点をそれぞれ、
とする。そして、この2次関数をと
する。はラグランジュ補間に他ならないので、
となる。図
3に示すとおりである。
図 3:
元の関数を区間
を2次関数で近似する
|
これを、区間
で積分する。紙面の都合上、式
(15)の右辺を各項毎に積分を行う。まず、右辺第1項で
あるが、それは以下のようになる。
同様に、第2,3項を計算すると
式(15)右辺第2項の積分 |
|
(15) |
式(15)右辺第3項の積分 |
|
(16) |
となる。以上より、近似した2次関数
の範囲
の積分は、
となる。
これは、ある区間
の積分で、その巾はである。区間にわ
たっての積分は、式(19)を足し合わせればよい。ただし、
と足し合わせる。
これが、シンプソンの公式と呼ばれるもので、先ほどの台形公式よりも精度が良い。精度
は、
に反比例する。
この式から、分割数は偶数でなくてはならないことがわかる。
積分の境界が複雑な場合、乱数を使うモンテカルロ積分が適している。例えば、関数
の体積積分を考える。この体積積分は
となる。ここで、
はM次元体の領域
の体積、
はその内部
の関数の平均値である。これは3次元体の質量を考えると簡単である。その質量は、密度
の体積積分となる。これは体積に平均密度を乗じた値に等しい。当たり前の式である。こ
のことから、式(
21)の積分の値が欲しければ、体積と平均値が分か
ればよいことになる。
積分を計算するために、まずは体積である。これは体積の計算が容易な単純な形状の内部
に、領域を包み込み、その内部にランダムに配置されたサンプル点の数を数えれ
ば良いのである。単純な形状内部に配置されたランダムな点の数をとする。そして、
その内部にある積分領域に含まれる点の数を
とする。さらに、単純
な形状の体積を、領域のそれを
とすると、
|
(20) |
の関係がある。右辺はコンピューターにより容易に計算できる。ランダムな点の数
が
多くなればなるほど、近似の精度は良くなる。
残りは、体積内部の平均
である。これも簡単で、領域内部
にあるサンプル点の平均より求めることができる。即ち、
領域の内部のみ |
(21) |
となる。ここで、
は
番目のサンプル点の
座標で
ある。また、
は領域内部のサンプル数である。この計算も簡単で、コンピューター
は難なく、平均値に近似値を求めることができる。
以上より、モンテカルロ法を用いると、体積と平均値
の近似値が
計算できることが分かる。従って、式(21)の近似値を求めることが
できる。
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年3月1日