組み合わせ回路はブール代数で、表現することができる。それは、数学の理論で公理が決
められており、それを基礎として成り立っている。ブール代数は、
- 2項演算子
,
と単項演算子
が定義されてる。それ
ぞれ加法と乗法、および補元の演算子を示す。
- 使われる変数は、0と1のみである。
の特徴をもっている。0と1だけからなる代数系であり,これはコンピューター内部で取り
扱うデータのビットと同じである。さらに、演算子もコンピューター内部の回路と一致し
ている。そのようなことから、コンピューターに代表される論理回路の記述にブール代数
がよく使われる。
ブール代数の演算は、以下の公理で定義されている。
通常の数の演算と似ているが、異なる部分もある。それは、
- 式(5.2)の2つある分配法則のうちの一つが、数の計算の分配法
則に無い。
- 補元は逆元に似ていますが、異なる。
である。また、加法と乗法、補元の演算の結果は、必ず元の変数の集合

に含ま
れる。このことをこれらの演算について閉じている
5.1と言う。
この公理から直ちにに分かる重要な性質がある。それは、加法の
と乗法の
、
0と
をそれぞれ入れ替えても、同じ公理になる。このことから双対の原理
定理 5.2.1 (双対の原理)
ブール代数では、元の式の
と
、0と
を交換してできる式を元
の式の「双対」(dual)
と呼ぶ。これは、ある定理が成り立つならば、その定理の
双対もまた成立する。
が成り立つ。
ブール代数においては加法と乗法は対等である。しかし、普通には、数の演算同様に乗法
は加法に先立って計算されるので注意が必要である。さらに、括弧を用いて、演算順序の
変更も可能としている。要するに、計算順序は普通の数の演算と同じと考えてよい。その
ため乗法の記号
が省略されたり、加法よりも乗法を演算順序を優先することを暗
黙の了解事項として書かれている場合が多い。このようなことは可能で問題は無いが、双
対の原理を考慮すると、加法と乗法の演算順序は対等とし、括弧で演算順序を決めて、さ
らに乗法の記号もちゃんと書いた方が良いであろう。
ブール代数の公理から導かれる重要な諸定理を示す。
これらは、全て公理を用いて証明可能である。すなわち、公理からこれらの定理を導くこ
とができる。
5.2.3 真理値表とMIL記号
ブール代数の変数の集合は
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、演算子は

と

、

である。変数も演算子も少ないので、すべての組み合わせを表にすることは簡単
である。それを表
5.1から
5.3に示す。こ
のように、変数の全ての組み合わせを示して、その演算結果を示すものを真理値表と言う。
これら基本演算子の動作をする回路記号(MIL記号)も図
5.1〜
5.3に示す。
これら基本演算に加えて、よく使われる論理回路の素子を図5.4〜
5.7に、その真理値表を表5.4〜
に示す。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年5月13日