これまでの話で、ベクトルは矢で表されることが分かった。矢で表すと直感的に分かり易
いが、計算には不向きである。そこで、別の表現を考えることにする。図
7のようにその矢の始まりをカーテシアン
2座標系の原点におい
て、先端の座標で表すことができる。そうすると、位置ベクトル
の場合、
|
(3) |
のような表現が可能であろう。この、
をベクトル
の成分、あ
るいは射影と言う。我々は3次元(相対論では4次元)の世界に住んでいるので、物理学で取
り扱うベクトル量は3つの成分からなる。
図 7:
カーテシアン座標系をつかったベクトルの表現
|
このようにすると、ベクトルの表現は全く便利になる。今までの矢を用いた方法だと、ベ
クトル量の計算が大変やっかいである。計算するとなると数値で表すことになるが、長さ
と角度みたいな量で表すことになる。2つのベクトル量をそれぞれ長さと角度の数値
|
(4) |
|
(5) |
で表現したとする
3。これを加算することを考えると、かなり面倒
である。
一方、座長を用いた表現だと
のように簡単に演算ができる。成分同士を加算すれば良いのである。これは、まったくもっ
て便利である!!!!。
ここで、先ほどのカーテシアン座標の各軸に沿った単位ベクトルを導入すると、便利な場
合がある。図8のようにすると、
のように表現できる。ここで、
,
,
が各軸に沿った単位ベクト
ルである。
成分を使った表現では、ベクトルの大きさも簡単に計算でき、ピタゴラスの定理より
|
(10) |
となる。
- [練習1]
- 2つのベクトル
の
と
を示せ。
- [練習2]
- [練習1]のベクトル
と
の大きさを示せ。
後に、方向余弦と言う話も出てくるので、少し説明をしておく。図
7に示したように成分を使って、ベクトルは表現可能である。
ベクトルの大きさを
として、各軸との角度をそれぞれ図
9のよ
うにすると、
の関係がある。ここで、
はベクトル
の大きさを表す。これらの
を方向余弦と言う。
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
yamamoto masashi
平成17年5月14日