シャーレ中の寒天培地で細菌の増殖を観察することを考える.その細菌は,1時間で倍に増加するとする.最初,1匹の細菌が時間とともに増加する様子を2つのグラフを描いて調べる.
- [練習1]
- 普通の方眼紙に,横軸を時間,縦軸に細菌の数をプロットせ
よ.何がわかるか?.
- [練習2]
- 同様に,片対数グラフにプロットせよ.15時間後の細菌の数
はどうなっているだろうか?
細菌の数を見れば,指数関数的に増加することの恐ろしさが分かるだろう.身近な例とし
て,サラ金のローンも指数関数になっている.短い時間は,一次関数となっていて気がつ
かないが,長い時間借りると,恐ろしいことになる.年利20%の複利でお金を借り
た場合の返済額をプロットしてみるとよく分かる.
この辺の話は,数学セミナー2004年4月号の対数方眼紙で遊ぼう[
1]
をかなり参考にしている.
惑星の公転周期と半径の関係を表したのがケプラーの第三法則で,1619年にケプラーが発
表した.この法則はティコ・ブラーエの長年にわたっての惑星の観測結果を詳細に分析
したことから得られたものである.天空を支配しているケプラーの第三法則に地上の力学
を加味すると,ニュートンの万有引力の法則が得られる.ティコ・ブラーエ,ケプラー,
ニュートンという流れで,天体の力学は進んでいったのである.
ここではケプラーの第三法則の内容は言わないものとして,観測結果(表1)から,
その法則を再発見してもらう.さらに,得られた法則と遠心力の関係を用いて,ニュート
ンの万有引力の法則を導いて見よ.
- [練習1]
- 普通の方眼紙に,横軸を公転周期,縦軸を公転半径をプロッ
トせよ.何が分かるか?.それとも何も分からないか?.
- [練習2]
- 同様に,両対数グラフにプロットせよ.グラフの結果から,
何が言えるか?.
表 1:
太陽の惑星と公転半径と周期[1]
惑星 |
公転半径 |
公転周期 |
| |
|
(地球=1) |
(地球=1) |
| |
水星 |
0 |
| 39 |
0 |
| 24 |
金星 |
0 |
| 72 |
0 |
| 62 |
地球 |
1 |
| 00 |
1 |
| 00 |
火星 |
1 |
| 52 |
1 |
| 88 |
木星 |
5 |
| 20 |
11 |
| 9 |
土星 |
9 |
| 55 |
29 |
| 5 |
天王星 |
19 |
| 2 |
84 |
| 0 |
海王星 |
30 |
| 1 |
164 |
| 8 |
冥王星 |
39 |
| 5 |
247 |
| 8 |
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日