それでは,スカラー場が満たす方程式を考えよう.復習で示した式
(11)のように,スカラー場の勾配が電場,
となる.これは,静電場をあらわす式(6),すなわち
を自動的に満足する.勾配の回転はゼロというベクトル恒等式
の示すとおりである.従って,残りは式(5),
である.これを,満足させるためには,
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ポアソン方程式(15)は,スカラーの方程式なので解きやすい. 解きやすいといっても,これを直接計算するのは,そんなに易しいことではない.
計算はそんなに簡単ではないが,既にこの方程式の解は分かっている.先週,示したとお り
それでは,微分方程式(15)をどうやって解くと言うのだ.式 17の問題点は,積分範囲が無限と言うことである.ブラウン 管の電子銃の電場を計算するために,全宇宙の電荷を計算することになる.原理的に正し いが,そんなのはナンセンス.そこで,実際には有限な領域のみを計算対象とする.そし て,その領域の端--境界--でのポテンシャルに条件を与える.境界条件を与えて,内部 でのみポアソン方程式を計算する.具体的な計算方法は,時間がないので述べないが,
ポテンシャルが分かるとなにがうれしいか?.それは,ポテンシャルはそれだけでも電圧 という物理的な意味がある.それだけでもうれしいが,それを微分することにより電場も 求められるのである.ポテンシャルが分かると静電場の問題は解けたと言える.
図3のように,電荷量の絶対値は等しいが符号が異なる2つの電 荷が近距離にあるようなものを電気双極子と言う.この電気双極子が作る電場を求めたい. このような場を求める場合,ポテンシャルが大いに役立つ.
図3の点でのポテンシャルを計算する.ただし,
とする2.式
(17)で示したように,各々の電荷が作るポテンシャルの和と
なる.
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余弦定理より | ||
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(18) |
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ポテンシャルが求まった.残りの問題は,これを微分して電場に直すことである.
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