これまでの話で,ベクトルは矢で表されることが分かった.矢で表すと直感的に分かり易
いが,計算には不向きである.そこで,別の表現を考えることにする.図
9のようにその矢の始まりをカーテシアン
2座標系の原点におい
て,先端の座標で表すことができる.そうすると,位置ベクトル
の場合,
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のような表現が可能であろう.この,
をベクトル
の成分,あ
るいは射影と言う.我々は3次元(相対論では4次元)の世界に住んでいるので,物理学で取
り扱うベクトル量は3つの成分からなる.
図 9:
カーテシアン座標系をつかったベクトルの表現
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このようにすると,ベクトルの表現は全く便利になる.今までの矢を用いた方法だと,ベ
クトル量の計算が大変やっかいである.計算するとなると数値で表すことになるが,長さ
と角度みたいな量で表すことになる.2つのベクトル量をそれぞれ長さと角度の数値
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(23) |
で表現したとする
3.これを加算することを考えると,かなり面倒
である.
一方,座標を用いた表現だと
のように簡単に演算ができる.座標同士を加算すれば良いのである.これは,まったくもっ
て便利である!!!!.
位置ベクトルのみならず一般のベクトル量も成分で表すことができる.一般のベクトル量
には座標はないので,他のことを考えなくてはならない.そこで,先ほどのカーテシアン
座標の各軸の方向を向いた単位ベクトル
,
,
を導入する.ただし,原点を一致させる必要はな
い.方向だけ一致させればよい! すると,一般のベクトル
は図
10のようになり,単位ベクトルの何倍という量で表すことができる.式にすると
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である.成分を使って,ベクトル
は
と表現できる.
このようにすると,ベクトルの加算は成分同士の加算となり,計算が格段に簡単になる.
また,ベクトルの大きさはピタゴラスの定理より
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となる.
後に,方向余弦と言う話も出てくるので,少し説明をしておく.図
9に示したように成分を使って,ベクトルは表現可能である.
ベクトルの大きさを
として,各軸との角度をそれぞれ図
11のよ
うにすると,
の関係がある.ここで,
はベクトル
の大きさを表す.これらの
を方向余弦と言う.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年4月10日