プログラムはじめに
作成するプログラムの概要です.
目次
概要
現在、研究室でコードを作成中ですが、まだ名前はありません。そのコードでは、
- 有限要素法を用いて、2次元(軸対称、並進対称)の電磁場
- 荷電粒子の軌道
が計算できるようにするつもりです。いろいろな電磁場やそれと相互作用する荷電粒子の挙動を計算できるものを作ることが目標です。特に、加速器の設計に使いやすいようにすることすることを考えています。
現在、このようなコードは3次元問題を解くことが主流となっています。しかし、我々が、今、そのようなものの開発を始めるのは無謀です。力量や開発人員を考えると完成まで、かなりの時間がかかるでしょう。そこで、比較的手軽に開発できる2次元問題から手をつけることにしました。これは、学生の卒業研究の手頃なテーマなので、コード開発と卒業研究の一石二鳥をねらっています。このような理由から、我々は主に2次元問題の解析コードを作成します。ただし、できるだけ精度良く計算できるものを開発することを目標とします。加速器のほとんどの部品は、軸対称構造、すなわち2次元問題として取り扱える
ので、精度の良いものができれば、役に立つと信じています。
今考えているプログラムの構成は、
図1の通りです。これは、独立したいろいろなプログラムの集合体にする予定です。それぞれの概略の機能は、次のようになります。
- Modeling (モデリング)
- GUIを使って、解析する形状を記述するファイルを作成します。
- Mesh Generator (メッシュ生成)
- 問題の形状などを記述したファイルから、有限要素法などの計算に用いるメッシュを生成します。
- Static Electric Field Solver (静電場解析)
- 与えられた境界条件の元、静電場を計算します。具体的には、Poisson 方程式を解きます。
- Static Magnetic Field Solver (静磁場解析)
- 静磁場を計算します。
- Eigenmode Solver (固有値解析)
- 高周波の電磁場を、周波数領域で計算します。
- Time Domain Solver (時間領域解析)
- 高周波の電磁場を、時間領域で計算します。
- Ion and Electron Solver (イオン・電子銃解析)
- 静電場や静磁場の計算結果を利用して、イオンや電子銃の解析をします。
- Particle in Cell Solver(粒子軌道解析)
- 計算された電磁場を利用して、粒子の軌道解析を行います。
- Post Processor (ポストプロセッサー)
- 計算結果をグラフィック表示します。
ファイル構成
このプログラムでは、図2に示すファイル構成を考えています。
- *.model
- 解析すべき問題の内容が書かれます。
- *.meshout
- 生成されたメッシュの情報が書かれます。
- *.filed
- 定常状態の電磁場の解析結果が書かれます。
- *.tfield
- 過渡状態の電磁場の解析結果が書かれます。
- *.trj
- 荷電粒子の軌道の軌跡の解析結果が書かれます。
- *.rep
- Post Processorで解析した結果が書かれます。
- *.bmp
- 計算結果をビットマップファイルとして出力します。
開発状況
勉強を兼ねてソースコードを書き始めたのは、2004年の9月頃からです。現在の状況は、以下の通りです。
Modeling (モデリング)
未着手です。
Mesh Generator (メッシュ生成)
まだ、改良の余地はありますが、アダプティブメッシュが使えるようになっています。とりあえず、有限要素法の計算に使えるようになっています。
Static Electric Field Solver (静電場解析)
軸対称の静電場は解析可能となっています。任意の形状の誘電体を含んだ解析もできます。
|
|
|
|
図 3:poisson方程式の計算結果。ポテンシャル分布。原画の方が見やすいです。
|
図 4:poisson方程式の計算結果。等ポテンシャル線と電場。原画の方が見やすいです。
|
Static Magnetic Field Solver (静磁場解析)
軸対称の静磁場の計算ができるようになっています。今のところ、磁性体の透磁率は、一定のものしか計算できません。
|
|
|
|
図 5:電磁石の解析結果。メッシュと磁力線、計算形状を示している。原画の方が見やすいです。
|
図 6:電磁石の解析結果。ベクトルポテンシャル Aθ分布。原画の方が見やすいです。
|
Eigenmode Solver (固有値解析)
単極のTMモードで、比較的低い共振モードのみ解析できるようになりました。
|
|
|
|
図 7:球形空洞のメッシュとHθの強度分布。縮小しているので見えにくいですが、ここををクリックして原画を見るとメッシュまでよく分かります。
|
図 8:球形空洞のHθの強度分布と電気力線。原画だと縮小していないので、はっきり見えます。
|
|
|
|
|
図 9:KEKのPFのRF空洞解析(実際の形状と少し異なる)。メッシュと Hθの様子。クリックして原画を見るとメッシュまでよく分かります。
|
図 10:KEKのPFのRF空洞解析(実際の形状と少し異なる)。Hθと電気力線の様子。原画だと縮小していないので、はっきり見えます。
|
Time Domain Solver (時間領域解析)
未着手です。
Ion and Electron Solver (イオン・電子銃解析)
未着手です。
Particle in Cell Solver(粒子軌道解析)
未着手です。
Post Processor (ポストプロセッサー)
ほとんど手をつけていません。計算結果をOpen GLを用いて、簡単な絵を出しているだ
けです。
|