LaTeXdvisvgmdvi を svg に変換
dvisvgm を使うと LaTeX の出力ファイル dvi を svg に変換することができます.LaTeX の出力を WEB サイトに貼り付けるとき,重宝します.ここでは,その使い方を説明します.
目次
はじめに
svg フォーマットは,web サイトでの図の公開に適しています.ベクターグラフィックなので,図がぎざぎざになったり,ぼけたりしません.拡大して,細部をみることができます.今時のブラウザは svg をサポートしています.そのため,svg を積極的に使わない理由はありません.LaTeX で作成した美しい数式混じりの文章にはもってこいです.以前のように,PNG フォーマットに変換し,公開する必要はなくなりました.
LaTeXで作成した dvi ファイルは,dvisvgm で svg ファイルに変換することができます.eps も変換可能です.使い方の簡単な説明が,TeX Wiki dvisvgmにあります.英文ですが,dvisvgmに詳しい説明があります.
ただし,日本語が含まれれる dvi ファイルは文字化けします.いろいろとトライしましたが,私は修正できませんでした.一度 pdf に変換してから svg にすると良いでしょう.具体的な方法は,「WEB 用の数式(SVG)」を見てください.
インストール(Ubuntu)
ここでは,二通りの方法 (バイナリーパッケージとソースファイルをコンパイル) のインストール方法を示します.最新バージョンが使える後者でのインストールを勧めます. ここでは,それぞれの方法について説明します.
apt-get を使う方法
最新バージョンではありませんが,バイナリパッケージも用意されています.apt-get でインストール可能です.手順は,dvisvgm の Downloads のページに書かれています.私は Ubuntu を使っているので,以下の二つのコマンドをつかいました.
$ sudo add-apt-repository ppa:martin-gieseking/ppa
$ sudo apt-get update && sudo apt-get install dvisvgm
あるいは,以下のコマンドでもインストールできるようです.
$ sudo apt-get install texlive-extra-utils
最新は version 1.9 ですが,いずれの方法でも,インストールされるのは dvisvgm 1.0.11 です(2015/2/3).
ソースファイルからインストール
ソースファイルをダウンロードし,コンパイル/インストールすれば,最新バージョンを使うことができます.インストール方法は,ダウンロードしたファイルの「README」に書かれています.私はそれに従い,以下のようにしました.
- dvisvgm のインストールに必要なライブラリーをインストールします.
$ sudo apt-get install libkpathsea-dev
$ sudo apt-get install libpotrace-dev
「./configure」でエラーが出たら,必要なライブラリーをインストールします.エラーメッセージを見れば必要なライブラリーは分かります.
- dvisvgm の Downloads のページに行き,「dvisvgm 1.9 source code archive」のボタンを押します.すると,「dvisvgm-1.9.tar.gz」がダウンロードされます.
- ダウンロードしたファイルを解凍します.
$ tar zxvf dvisvgm-1.9.tar.gz
すると,ディレクトリー「dvisvgm-1.9」が作成され,そこには,マニュアルやインストールに必要がファイルがあります.
- 解凍されたディレクトリーに移動します.
$ cd dvisvgm-1.9
- 以下のコマンドで,インストールを作業を行います.
$ ./configure
$ make
$ sudo make install
使い方
コマンド構文
LaTeX の dvi ファイルを svg ファイルに変換するコマンドの構文は,次の通りです.
- dvisvgmオプションdviファイル
EPS を svg に変換する場合は,次のようにします.
- dvisvgm -E オプションepsファイル
使い方の例
dvi ファイル(hoge.dvi)を svg ファイル(hoge.svg)に変換するコマンドは以下の通りです.
$ dvisvgm hoge.dvi
もし,変換結果がおかしい場合には,オプション「--no-fonts」を推奨します.
オプション
コマンド「dvisvgm」のオプションは,「dvisvgm -h」で調べることができます.それによると,オプションは,(1)入力オプション,(2)出力オプション,(3)SVG変換オプション,(4)処理オプション,(5)メッセージオプションにカテゴリー分けできます,ここでは,バージョン 1.9 のオプションについて説明します.
入力オプション
入力オプション (Input Options)は,入力ファイルに関するオプションです.ページの選択や
dvisvgm の入力のオプション.括弧[]内の値はデフォルト値.
オプション |
動作 |
-p |
--page=ranges |
変換するページの選択 [1] (詳細説明). |
-m |
--fontmap=filenames |
フォントマップファイルの読み込み(詳細説明). |
-E |
--eps |
EPS ファイルを SVG に変換します (詳細説明). |
出力オプション
出力オプション (Output Options)
dvisvgm の出力のオプション.括弧[]内の値はデフォルト値.
オプション |
動作 |
-b |
--bbox=size |
バウンディングボックス(境界の箱)の設定 [min] (詳細説明). |
-j |
--clipjoin |
クリッピングパスの交点を計算する |
|
--grad-overlap |
create operlapping color gradient segments |
|
--grad-segments=number |
number of color gradient segments per row [20] |
|
--grad-simplify=delta |
reduce level of detail for small segments [0.05] |
-L |
--linkmark=style |
select how to mark hyperlinked areas [box] |
-o |
--output=pattern |
set name pattern of output files |
-d |
--precision=number |
set number of decimal points (0-6) [0] |
-R |
--relative |
create relative path commands |
-s |
--stdout |
write SVG output to stdout |
-n |
--no-fonts[=variant] |
draw glyphs by using path elements [0] |
|
--no-merge |
don't merge adjacent text elements |
|
--no-styles |
don't use styles to reference fonts |
-z |
--zip[=level] |
create compressed .svgz file [9] |
SVG変換オプション
SVG変換オプション (SVG Transformations)
dvisvgm のSVG 変換オプション.括弧[]内の値はデフォルト値.
オプション |
動作 |
-r |
--rotate=angle |
ページが時計方向に回転します. |
-c |
--scale=sx[,sy] |
ページが縦/横方向に拡大/縮小します. |
-t |
--translate=tx[,ty] |
ページが縦/横移動します. |
-T |
--transform=commands |
transform page content |
-Z |
--zoom=factor |
ページが拡大/縮小します[1.0]. |
処理オプション
処理オプション (Processing Options)
dvisvgm の処理変換オプション.括弧[]内の値はデフォルト値.
オプション |
動作 |
-C |
--cache[=dir] |
set/print path of cache directory |
-e |
--exact |
compute exact glyph boxes |
|
--keep |
keep temporary files |
|
--libgs=filename |
set name of Ghostscript shared library |
-M |
--mag=factor |
magnification of Metafont output [4] |
|
--no-mktexmf |
don't try to create missing fonts |
-S |
--no-specials[=prefixes] |
don't process [selected] specials |
-a |
--trace-all[=retrace] |
trace all glyphs of bitmap fonts [no] |
メッセージオプション
メッセージオプション (Message Options)
dvisvgm のメッセージオプション.括弧[]内の値はデフォルト値.
オプション |
動作 |
|
--color |
colorize messages |
-h |
--help[=mode] |
print this summary of options and exit [0] |
-l |
--list-specials |
print supported special sets and exit |
-P |
--progress[=delay] |
enable progess indicator [0.5] |
-v |
--verbosity=level |
set verbosity level (0-7) [7] |
-V |
--version[=extended] |
print version and exit [no] |
help だと分かり難いので,以下詳細を示します.
オプション |
動作 |
-b, --bbox=size |
svg の図の bounding box (図枠)を設定します. |
注意
- dvisvgm で変換された svg がおかしなことがあります.私の場合は,変な漢字に変換されました.その場合は,オプション「--no-fonts」を使うと正しく変換されます.
ページ作成情報
参考資料
更新履歴
2013年07月07日 |
ページの新規作成 |
2015年01月31日 |
注意を追加 |
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