と同一の境界条件で式(41)と(42)を満たす他のベクトル場
があるとする.ここで,
がゼロならば,ベクトル場は一意に決まると言える.これらの式を満たすベクトル場は無いと言えるからである.そこで,
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これで準備が整った.
が考えている空間
にわたってゼロであることを証明し
たい.そのためには,
与えられた条件で式(48)の右辺を計算して,それがゼロにな ることを確認する.取り合えず,左辺に分かっている条件を入れて計算してみよう.
この定理のなにがうれしいかというと,ベクトル場を記述する微分方程式は,回転と発散 で良いと言うことを示していることである.いろいろな法則は微分方程式で記述しなくて はならないが,ベクトル場の場合は回転と発散の値を決めれば,ベクトル場が決まると言 うことである.境界条件は必要であることは言うまでもない.
結論から先に言うと,ベクトル
は,
これが本当に成り立つか証明しなくてはならない.そのためには,式(50)が
表すベクトル場
と,式(51)と式(52)が
つくるベクトル場
が等しいことをいえばよい.ベクトル場が等しいため
には,前節の「ベクトル場を決めるもの」で述べたように,おのおののベクトル場の発散
と回転が等しいことを言えばよい.式(50)が表すベクトル場
の発散と回転は,それぞれ
と
である.
したがって,式(51)と式(52)がつくるベクトル場
が式(50)のベクトル場と等しくなるためには,
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式(29)より | ||
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はじめに,右辺第一項を計算する.演算子は
のみに作用するので,
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次に式(57)の右辺第二項を計算する.はじめにベクトルラプラス演 算子を丁寧に計算する.被積分関数は
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以上より,ベクトル場を表す微分方程式(50)の解は,式(51) と式(52)で表すことができる.諸君はベクトル場を表す微分方程式とそ の解を得たことになる.
渦無しと管状の意味を述べておいた方がよいだろう.
から作られるベクト
ル場は渦無しである.これは
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