Yamamoto's Laboratory
 
 
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枠付き文章
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はじめに

枠付き文章は,注意,定義,例,補足を本文から目立たせるときに使います.ただし,枠を多用すると重要な箇所が分かりにくくなります.本当に強調したい場所に限って使います.

枠の作り方は,用途で選ぶと迷いません.長い文章やタイトル付きの箱を作るなら tcolorbox,単純な枠で改ページも考えるなら mdframed,古い日本語文書の簡単な囲みなら ascmac,行中の短い文字列なら \fbox や fancybox を使います.

方法 向いている用途 特徴
tcolorbox タイトル付き,色付き,高機能な枠 現在の文書で最も使いやすい選択です.色,角丸,影,定理風の箱などを設定できます.
mdframed 単純な枠,改ページ可能な枠 枠内の文章が長くなる場合に使いやすいです.
ascmac 日本語文書の旧来の囲み itembox,screen などを簡単に使えます.
fancybox, \fbox 行中の短い文字列 短い語句や式を囲む用途に向いています.長い段落には向きません.

必要なパッケージをプリアンブルで読み込みます.TeX Live であれば,ここで扱うパッケージは通常インストールされています.

\usepackage{tcolorbox}
\usepackage{mdframed}
\usepackage{ascmac}
\usepackage{fancybox}

すべてを同時に読み込む必要はありません.使う枠に必要なパッケージだけを読み込みます.なお,\fbox は LaTeX 標準の命令なので,短い文字列を囲むだけなら追加パッケージは不要です.

高機能なパッケージ (tcolorbox)

tcolorbox は,枠付き文章を作る高機能なパッケージです.タイトル,背景色,枠線,角丸,影などをまとめて指定できます.新しく枠付き文章を書くなら,まずこのパッケージを検討します.

\begin{tcolorbox}[
  title=注意,
  colback=yellow!8!white,
  colframe=black,
  arc=2mm
]
ここに注意書きを書きます.
\end{tcolorbox}

tcolorbox のオプションは [ ] の中に key=value の形で書き,複数あるときはカンマで区切ります.値を取らないオプションもあります.

引数 意味 例
title 箱の上部に表示するタイトルです.省略するとタイトルなしになります. title=注意
colback 本文側の背景色です.xcolor の yellow!8!white のように,色を混ぜて指定できます. colback=yellow!8!white
colframe 枠線とタイトル帯の色です. colframe=black
arc 角の丸みです.0mm に近いほど角張り,大きくすると丸くなります. arc=2mm
boxrule 枠線の太さです. boxrule=0.8pt
left, right, top,
bottom
箱の内側の余白です.必要に応じて個別に指定できます. left=4mm
coltitle タイトル文字の色です. coltitle=white
fonttitle タイトル文字の書体や大きさです. fonttitle=\bfseries
sharp corners 角を丸めず,直角の箱にします. sharp corners
breakable ページをまたいで分割できる箱にします.使うときはプリアンブルで \tcbuselibrary{breakable} を読み込みます. breakable

色指定の yellow!8!white は「yellow を 8%,white を 92% 混ぜる」という意味です.title や colback などは後に書いた指定が優先されるので,\newtcolorbox で標準設定を作り,必要なときだけ #1 で上書きすると便利です.

同じ形の枠を何度も使う場合は,プリアンブルで独自の環境を定義すると保守しやすくなります.

\newtcolorbox{notebox}[1][]{
  title=注意,
  colback=yellow!8!white,
  colframe=black,
  arc=2mm,
  #1
}

\begin{notebox}
同じ書式の枠を簡単に使えます.
\end{notebox}

改ページできるシンプルな枠 (mdframed)

mdframed は,文章を単純な枠で囲むためのパッケージです.枠内の文章が長くなったとき,ページをまたいだ枠を作れる点が便利です.

\begin{mdframed}[
  linewidth=0.8pt,
  roundcorner=4pt,
  backgroundcolor=gray!10
]
ここに長めの補足説明を書きます.
\end{mdframed}

mdframed のオプションも [ ] の中に key=value の形で書き,複数あるときはカンマで区切ります.線の表示・余白・背景色・タイトルなどをまとめて指定できます.

オプション 意味 例
linewidth 枠線の太さです. linewidth=0.8pt
linecolor 枠線の色です. linecolor=black
backgroundcolor 箱の背景色です.色を指定するときは必要に応じて xcolor を読み込みます. backgroundcolor=gray!10
fontcolor 箱の中の文字色です. fontcolor=black
roundcorner 角の丸みです.0pt に近いほど角張り,大きくすると丸くなります. roundcorner=4pt
innerleftmargin,
innerrightmargin
本文と左右の枠線との間隔です. innerleftmargin=10pt
innertopmargin,
innerbottommargin
本文と上下の枠線との間隔です. innertopmargin=6pt
skipabove, skipbelow 箱の前後に入れる縦方向の空きです. skipabove=8pt
frametitle 箱の上部に表示するタイトルです. frametitle={注意}
frametitlebackgroundcolor タイトル部分の背景色です. frametitlebackgroundcolor=gray!20
frametitlefontcolor,
frametitlefont
タイトル文字の色と書体です. frametitlefont=\bfseries
topline, bottomline,
leftline, rightline
上下左右の枠線を個別に表示・非表示にします. leftline=false
shadow, shadowsize,
shadowcolor
影の有無,大きさ,色を指定します. shadow=true
nobreak 箱の途中で改ページしないようにします.短い注意書きなどを一つの箱として保ちたいときに使います. nobreak=true

色を使う場合は,必要に応じて xcolor も読み込みます.

\usepackage{xcolor}
\usepackage{mdframed}

日本語向けの定番枠 (ascmac)

ascmac は,日本語の LaTeX 文書で昔から使われてきた枠付き文章のパッケージです.簡単な囲みをすぐ使える一方,細かなデザイン調整は tcolorbox の方が得意です.

タイトル付きの枠 (itembox)

itembox は,タイトル付きの枠を作る環境です.タイトル位置は,オプションで l,c,r を指定します.

\begin{itembox}[l]{オイラーの公式}
オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)は,とても不思議
な式である.もともと,幾何学的な意味を持つ三角関数と,解析的な指数関数が,
虚数を介して,とても単純な関係にあることを示している.
\end{itembox}

図1: itembox で文章を囲む例

角丸の囲み枠 (screen)

screen は,角の丸い枠で文章を囲みます.

\begin{screen}
ここに本文を書きます.
\end{screen}

図2: screen で文章を囲む例

ノート風の枠 (boxnote)

boxnote は,リングノート風の枠を作る環境です.装飾が強いので,必要な場所だけに使います.

\begin{boxnote}
ここに本文を書きます.
\end{boxnote}

図3: boxnote で文章を囲む例

影付きの枠 (shadebox)

shadebox は,影付きの枠を作る環境です.

\begin{shadebox}
ここに本文を書きます.
\end{shadebox}

図4: shadebox で文章を囲む例

短い文字列用の枠 (fancybox と \fbox)

\fbox は LaTeX 標準の命令です.短い文字列や式を行中で囲む場合に使います.fancybox を読み込むと,影付き枠や二重枠などの命令も使えます.

これらは引数に入る短い内容を囲む命令です.段落全体や複数ページにわたる長い文章には,tcolorbox や mdframed を使います.

影付きの短い枠 (shadowbox)

\shadowbox は,影付きの枠で短い文字列を囲みます.

\shadowbox{オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)}

図5: shadowbox で文章を囲む例

単純な四角い枠 (\fbox)

\fbox は,四角い枠で短い文字列を囲みます.追加パッケージなしで使えます.枠線と文字の距離は \fboxsep,枠線の太さは \fboxrule で調整できます.

\setlength{\fboxsep}{4pt}
\setlength{\fboxrule}{0.8pt}
\fbox{オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)}

図6: fbox で文章を囲む例

二重線の枠 (doublebox)

\doublebox は,二重枠で短い文字列を囲みます.

\doublebox{オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)}

図7: doublebox で文章を囲む例

細い角丸枠 (ovalbox)

\ovalbox は,角の丸い細い枠で短い文字列を囲みます.

\ovalbox{オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)}

図8: ovalbox で文章を囲む例

太い角丸枠 (Ovalbox)

\Ovalbox は,角の丸い太い枠で短い文字列を囲みます.先頭の O は大文字です.

\Ovalbox{オイラーの公式($e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$)}

図9: Ovalbox で文章を囲む例

ページ作成情報

参考資料

  1. tcolorbox, CTAN, version 6.9.0, 2025-11-28.
  2. mdframed, CTAN.
  3. ascmac, CTAN.
  4. fancybox, CTAN.

更新履歴

2007年 ページの新規作成
2026年05月16日 説明を整理し,tcolorbox,mdframed,ascmac,fancybox と \fbox の説明を追加


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