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LaTeX箇条書き

LaTeX で箇条書きを作る方法を説明します.標準の itemize,enumerate,description を基本にし,ラベルや余白を調整するときは enumitem を使います.

目次


はじめに

箇条書きは,並列する内容や手順を整理するときに便利です.ただし,多用すると文章の流れが切れ,余白が多い文書になります.本文で説明し,必要なところだけ箇条書きにします.

LaTeX の標準的な箇条書きは,itemize,enumerate,description の 3 種類です.通常はこの 3 つで十分です.ラベルや間隔を細かく調整したい場合は,現在は enumitem パッケージを使うのが分かりやすいです.

環境 用途 使いどころ
itemize 記号付き箇条書き 順序のない項目を並べます.
enumerate 番号付き箇条書き 手順,順位,条件のように順序がある項目を並べます.
description 見出し付き箇条書き 用語と説明,記号と意味のような組を並べます.
list 低レベルのリスト 独自のリスト環境を作るときに使います.通常の文書ではあまり使いません.

箇条書きの例

以下は,本文中で itemize 環境を使った例です.各項目は \item で始めます.このソースをコンパイルすると,図1が作成されます.

LaTeX で箇条書きを使った例

% -*- coding:utf-8 -*-
\documentclass[10pt,a4paper,dvipdfmx]{jarticle}
%
%==============================
% ドキュメント開始
%==============================
\begin{document}
\title{LaTeXを使う理由}
\author{山本昌志}
私が初めてTeXを知ったのは1991年のことです.当時は「ヘー」と
思っただけで,特に興味を引きませんでした.その頃,初めて
Macintoshを使い始め,そのGUIに魅了されていたからです.Word
はお気に入りでした.それから二年も過ぎると,Wordの限界が見え
てきました.Word で博士論文を書く気にはならず,TeXを思い出し
ました.無事博士論文を書き上げた後は,TeXがお気に入りになり
ました.

今ではほとんどの文書作成にTeXを使います.その理由は,
\begin{itemize}
 \item 文書作成時間が短い.自動的にスタイルを決めてくれるので,
       文書の内容に集中できます.そのスタイルが俊逸なので,美
       しい仕上がりになります.
 \item 数式がきれい.
 \item 式番号や参考文献,その他の引用が簡単.
\end{itemize}
です.論理的な文書はTeXが良いですね.
\end{document}

図1: 箇条書きの例

この結果から,日本語では LaTeX の箇条書きのインデントが浅いことがわかります.以下の設定を行うと,第1階層の itemize / enumerate の字下げを深くすることが出来ます.

\usepackage[shortlabels]{enumitem}
\setlist[itemize,1]{leftmargin=15mm}
\setlist[enumerate,1]{leftmargin=15mm}

基本の箇条書き

ここでは,標準で使える 3 つの環境を説明します.いずれも \begin{環境名} と \end{環境名} で囲み,項目を \item で書きます.

itemize

itemize は,記号付き箇条書きです.項目の順序に意味がない場合に使います.

\begin{itemize}
  \item 運動の第一法則とは,慣性の法則のことです.
  \item 運動の第二法則とは,運動方程式のことです.
  \item 運動の第三法則とは,作用反作用の法則のことです.
\end{itemize}

図2: itemize 環境を使った例

\item[記号] と書くと,その項目だけ記号を変えられます.

\begin{itemize}
  \item[$\clubsuit$] 運動の第一法則とは,慣性の法則のことです.
  \item[$F=ma$] 運動の第二法則とは,運動方程式のことです.
  \item[文字もOK] 運動の第三法則とは,作用反作用の法則のことです.
\end{itemize}

図3: itemize 環境で先頭の記号を変えた例

enumerate

enumerate は,番号付き箇条書きです.手順や順位のように,項目の順序に意味がある場合に使います.

\begin{enumerate}
  \item 運動の第一法則とは,慣性の法則のことです.
  \item 運動の第二法則とは,運動方程式のことです.
  \item 運動の第三法則とは,作用反作用の法則のことです.
\end{enumerate}

図4: enumerate 環境の例

番号の形式を変えるだけなら,後述の enumitem パッケージを使うと簡単です.

description

description は,項目ごとに見出しを付ける箇条書きです.用語の説明や記号の定義に向いています.

\begin{description}
  \item[運動の第一法則] 慣性の法則のことです.
  \item[運動の第二法則] 運動方程式のことです.
  \item[運動の第三法則] 作用反作用の法則のことです.
\end{description}

図5: description 環境の例

見出しの後で改行したい場合は,見出しの直後に \mbox{}\\ を入れます.

\begin{description}
  \item[運動の第一法則]\mbox{}\\
      慣性の法則のことです.運動方程式が成り立つ座標系を慣性系と言います.多くの場合,地球に固定された座標系(実験室系)が良い近似として使われます.
  \item[運動の第二法則]\mbox{}\\
	    運動方程式のことです.
  \item[運動の第三法則]\mbox{}\\
	    作用反作用の法則のことです.
\end{description}

図6: description 環境で見出し後に改行した例

list

list は,LaTeX の低レベルなリスト環境です.ラベルや余白を細かく指定できますが,普通の文書では直接使う場面は多くありません.独自のリスト環境を定義したいときに使います.

\begin{list}{$\triangleright$}{\setlength{\itemsep}{0pt}}
  \item ひとつ目の項目です.
  \item ふたつ目の項目です.
\end{list}

単に番号や余白を調整したいだけなら,次の enumitem を使う方が読みやすくなります.

enumitem による調整

enumitem は,itemize,enumerate,description のラベル,左余白,項目間隔などをまとめて調整するパッケージです.古い enumerate パッケージよりも設定が整理されています.

\usepackage{enumitem}

ラベルの変更

番号付き箇条書きのラベルを変えるには,label=... を指定します.よく使う形式は次のとおりです.

指定 表示例 説明
label=\arabic*. 1., 2., 3. 算用数字です.標準に近い形式です.
label=(\alph*) (a), (b), (c) 小文字アルファベットです.
label=\Roman*. I., II., III. 大文字ローマ数字です.
label=条件\arabic* 条件1, 条件2 文字列と番号を組み合わせます.
\begin{enumerate}[label=条件\arabic*, leftmargin=*]
  \item 質点として扱えること.
  \item 外力が分かっていること.
\end{enumerate}

余白と間隔の調整

項目間隔を詰めたい場合は,noitemsep や topsep=0pt を指定します.左余白を自動調整したい場合は,leftmargin=* を使います.

\begin{itemize}[noitemsep, topsep=0pt, leftmargin=*]
  \item 余白を詰めた項目です.
  \item 余白を詰めた項目です.
\end{itemize}

特定のリストだけを調整するなら,環境のオプションに書きます.文書全体で同じ設定にする場合は,プリアンブルで \setlist を使います.

\setlist[itemize]{noitemsep, topsep=0pt}
\setlist[enumerate]{leftmargin=*}

インラインリスト

本文中に短い箇条書きを入れる場合は,enumitem を inline オプション付きで読み込み,enumerate* を使います.

\usepackage[inline]{enumitem}

古典力学の基本法則は,
\begin{enumerate*}[label=(\arabic*)]
  \item 慣性の法則
  \item 運動方程式
  \item 作用反作用の法則
\end{enumerate*}
です.

古いパッケージ

古い文書では,enumerate や paralist を使った例が多くあります.既存文書を読むためには知っておくと便利です.新しく書く文書では,まず enumitem を検討します.

パッケージ 主な機能 現在の扱い
enumerate \begin{enumerate}[(1)] のように番号形式を指定できます. LaTeX tools に含まれますが,CTAN では enumitem が後継として示されています.
paralist inparaenum など,本文中のリストを作れます. 既存文書では使われます.新規文書では enumitem のインラインリストも候補です.

paralist を使う場合の例です.

paralist によるインラインリスト

古典力学でも最も基本的な運動の法則は,
\begin{inparaenum}[(1)]
 \item 運動方程式が成り立つ座標系を決める慣性の法則; 
 \item 粒子の運動の時間発展を記述する運動方程式; 
 \item 力の相互作用の仕方を表す作用反作用の法則
\end{inparaenum}
です.

図7: paralist によるインラインリストの例

ネスト

箇条書きは入れ子にできます.LaTeX の標準設定では,enumerate は 4 段階まで入れ子にできます.深すぎる入れ子は読みづらいので,必要な場合だけ使います.

\begin{itemize}
  \item 運動の第一法則とは,慣性の法則のことです.
    \begin{itemize}
      \item 慣性系とは,運動方程式が成り立つ座標系のことです.
      \item ガリレイ系と呼ぶこともあります.
    \end{itemize}
  \item 運動の第二法則とは,運動方程式のことです.
\end{itemize}

図8: itemize のネストの例

項目の参照

番号付き箇条書きの項目を本文中で参照したい場合は,項目の中に \label を置き,本文から \ref で参照します.

\begin{enumerate}
  \item \label{item:first-law} 慣性の法則
  \item 運動方程式
\end{enumerate}

第 \ref{item:first-law} 項は,慣性の法則です.

参照番号を正しく出すには,LaTeX を複数回実行します.

ページ作成情報

参考資料

  1. enumitem - Control layout of itemize, enumerate, description, CTAN, version 3.11, 2025-02-06.
  2. enumerate - Enumerate with redefinable labels, CTAN, version 3.00, 2023-07-04.
  3. paralist - Enumerate and itemize within paragraphs, CTAN, version 2.7, 2017-01-22.
  4. enumerate, LaTeX2e unofficial reference manual, January 2025.

更新履歴

2007年 ページの新規作成
2019年07月06日 全ての図を SVG に変換
2026年05月16日 説明を整理し,標準環境,enumitem,古いパッケージ,ネスト,項目参照の説明を追加


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